novel-railwayのブログ

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餘部橋梁物語、その後 第2話

餘部橋梁物語、今回はどのような展開になるのでしょうか。
早速始めていきたいと思います、


> いつもはすれ違いばかりの二人ですが、今回は神様がちょっとした悪戯を仕掛けたようです。


香美町香住観光協会餘部橋梁の歴史から参照


一番列車はファーンというじゃ間間延びしたような汽笛を鳴らすとでエンジンの音を少しづつ大きくしながら走り去っていくのでした。
今まではただ走り去るのを橋の下から見るだけだった住民にしてみればそれは驚きでしかありませんでした。


猫尾は実は、この日は別の現場で作業だったのですが、少しだけ時間があったので駅に一番列車を見に来たのですが少し家を出るのが遅れたものですから、ホームには多くの人があふれ、仕方なく駅の上り口付近で様子を見ていたのでした。


列車は猫尾が見ている前を通り過ぎてやがてエンジン音が高くなり、やがて小さな音になったので走り去ったことは何となくわかりました。
そして、地元の人も三々五々と小さな猫の額のようなホームから階段を通じて降りてくるのが見えます。
足腰が弱いのか、先ほど旦那さんの写真を抱えていたお婆さん、恐る恐る階段を下りてきます。
そのためという訳ではないでしょうけど、狭いホームはまだまだ混雑したままです、でも誰も文句を言う人はいません。
だって、今までの苦労から比べたらどれほど楽で、どれほど安全になったかをみんな知っているのですから。
多分、このお婆ちゃんが一番それを感じているのではないでしょうか。


実際、駅のホームに列車が滑り込んだ時お婆ちゃんは目頭を押さえながら。「あんた、汽車がやって来たよ。あんたと一緒に、温泉でも行きたかったね。・・・。」


それを聞いていた周りの人もついぞ貰い涙で・・・。


だから、帰りがけお婆ちゃんがゆっくりゆっくり歩いているのを見ても誰も文句は言わないのでした。


そんな住民が少しづつ降りて来る中に猫尾は女将の姿を見つけたのでした、


「おーい、女将・・・」と言いかけて猫尾は隣に親しく話している男性がいることに気付きました。
あの男は?
見かけない顔だが、・・・それにしてもやけに親しくしているなぁ。


猫尾にしてみれば気が気ではないのですが・・・こうしたことには奥手な猫尾。


気になりながらも、声をかけることも出来ず…ちょうどその同じころ女将も猫尾に気付いて、
「猫尾さん」と声をかけたのですが、


猫尾は気付かないままスタスタと歩いて近くに止めてあった自転車に飛び乗ると現場に向かって走っていったのでした。


猫尾はペダルを漕ぎながら、誰なんだろうか・・・あの横で親しげに話していた男は・・。
女将の旦那がシベリアの抑留から帰って来たのだろうか・・それとも・・・猫尾の妄想は広がるばかりです。


気の毒な猫尾、仕事も手につかずで親方に怒られてばかり。
さてさて、その後はどうなるのでしょうか?


気になりますか?
でも、その続きは次回までのお楽しみといたしましょう。


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