novel-railwayのブログ

以前投稿した小説記事をこちらでアップしていきます。

鉄道公安官物語 第10夜

さて、さて白根は試験は上手く行ったのでしょうか?
早速、覗いてみたいと思います。


白根達が受ける最終の試験は学校の試験のように昼で終わりなどと言うことは無く一日で6教科もしくは7教科を一気に試験する強行ですから勢い試験勉強はいかに毎日の授業をきちんと聞いて理解していたかにかかってくるわけです。


しかし、この試験は落第させるのが目的の試験ではなく現場に出たときに困らないように行われる試験ですから出題される内容は基礎的なことばかり。


白根の教科書読み込み作戦はすっかり上手くいったのでした。
時々出てくる引っ掛け問題には、見事にはまる白根でしたが、基本はしっかり押さえてあるので致命傷的な間違いも少なく試験は無事クリアすることが出来ました。


さて、試験は答案が返されるわけではなく、得点だけが各人に通知されるだけでしたが、これが配属先に大きく影響を与えるのです。


あまり極端に低い点だと業務に支障があると判断されるのです。
幸い白根は、優秀とはいえませんでしたが基礎をしっかりと押さえてあったので平均よりも上の点数を稼ぐことが出来ました。当然、彼の希望する駅への配属が決まったのです。


配属駅は天王寺駅、大阪駅と比べれば規模は小さいですが天王寺鉄道管理局のお膝元の駅であり天王寺駅からは一日1往復ではありますが紀伊半島を一周する天王寺発名古屋行き特急「くろしお」も出発するのです。


そして、この名古屋行き特急には、かって「はつかり」で名をはせた有名な「がっかり」じゃなかった「キハ81」が両端に連結されていました。


昭和35年製造のキハ81形気動車ですが、保守が悪いのかかなりくたびれて「がっかり」とか国鉄が赤字なので、「くろしお」じゃなくて「あかしお」だ等と影口をたたくファンもいたとかいないとか。

おっと、話が全く違う方向に行ってしまいましたが。学園生活も終わる頃「白根」は天王寺駅の公安員として勤務することを命ぜられ、新しい拳銃も貸与されました。


早速、帯革に拳銃ホルダーを通して腰に巻いてみるとずっしりとした重さが肩にも食い込んできます。(正確には冬・合服の場合は帯革は腰に巻くといった方がイメージしやすいと思います。)ねずみ色の警察官によく似た制服に公安員を示す胸賞、手錠、公安官手帳。
どこから見ても立派な公安職員です。


さて、天王寺駅での彼の活躍はどうなっていくのでしょうか。

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村