novel-railwayのブログ

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鉄道公安官物語 第9夜

試験まで日がない・・・でもどうすれば・・・。


あせりながらも考えた苦肉の策、教科書丸覚え作戦。
追い詰められた白根ですが、どうなったのでしょうか。


試験まで後2日、白根はただひたすらに教科書を読んでいました。それこそ、何度も何度も。トイレにも、はたまた風呂に入るときまで・・・・さすがに湯船では読みませんでしたが。


そんな調子でしたから、きれいだった本はやがて手垢で汚れ異様に膨らんで変形していました。
さらに、ページをめくると赤いラインや黄色のライン、その上から赤いラインを引いたからなのか変に緑色になったラインなども所々に見られます。
さらには、本の端には細々と汚い字で書き込みがありました。


決してきれいな本の使い方ではないのでしょうが、案外これが効果をもたらしたのです。


試験当日、大きな不安と少しばかりの期待を込めて試験に挑む白根でした。


試験の解答用紙が配られ、次に試験問題が問題を伏せたまま配られてきます。
白根は緊張で心臓がばくばくするのを禁じ得ませんでした。


教官から試験に対する注意がありました。
試験時間は50分、試験途中の退出は認めない、教室の時計を基準の時計とすることなどが伝えられて、時計を見るとすでに時刻は9:00ちょうどをまさに指そうとしていました。


「それでは、かかれ。」


教官の声で試験は始まりました。
白根は、問題を一通り目を通してみました。


最初は全くわからないと思っていた問題ですが、じっと問題文を読んでいると問題の重要点等が浮き上がって見えるのでした。


あれ、もしかしたら・・・この問題って、教科書にかかれていた内容を少し変化させたものだよなぁ。


この問題は、設問が逆になってるだけで教科書に例題が載っていたような。


白根は思わず微笑んでいる自分を感じていました。


中には全く歯の立たない問題もありましたが、そのような問題は無理に解答せずに時間をかけて行わないで、さらっと流していきました。


やがて、教官の声で、「試験終了」と言う声が聞こえてきました。


答案は、先ほどと反対に最後部の席から前に順次解答欄を裏側にして先頭の席に送られるのでした。


さぁ、資格試験等であればこれで開放となるのでしょうが、公安官の試験は1日で全教科を行うのでこれからが始まりなのです。


ぞっとした思いとこれで、研修生活も終わるんだと思うと少しうれしくなってくる白根だったのです。

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