novel-railwayのブログ

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鉄道公安官物語 第6夜

皆様こんばんは、鉄道公安官物語を今日も始めさせていただこうと思います。
今日も白根がまじめに授業を受けているか覗いてみましょう。


今日も歴史の授業のようです。
白根はどうやら睡魔と言う悪魔と闘っているようですが・・・・。


なるほど、こんな授業じゃ私でなくても眠くなりそうです。
教官はまじめ一途と言った顔をした実直そうな助役クラスの人でしょうか?


鉄道公安官の歴史についてなのですが、国鉄当時のの公安官制度はGHQの要請によるものだと書きました。実際はGHQではなくCTSによる勧告で・・・・


黒板に几帳面な字で歴史が書かれています。


ちょっと、望遠レンズで覗いてみましょう。


なんか、教官が条文を丁寧に書いているようです。
でも、殆ど誰も書き写していませんね、さて・・・白根はというと・・・・


おっと、これ以上はなしたら面白くないので後でのお楽しみとしておきましょう。


さてさて、黒板の字を誰も書き写そうともしない中でも気に留めるも無く書き続ける教官ですが、時々振り返ってみなの様子を見ています。
みなさん、眠くなるのを必死に我慢しているようです。


さて、白根の様子はどうでしょうか?


白根の一つ前の席には、白根と同期のあだ名が黒猫と呼ばれる、黒沢という男が座っていました。
背は小柄で猫背なため、みなからそのように言われていたのでした。


彼も今年の選抜で公安官となるべく教育を受けているのですが、彼の父親も公安官なのでその引きもあったといわれています。
父の背中を見て育ったからか、それとも猫背が影響しているのか、後ろから見てると熱心に聞いているように見えます。しかし、・・・・近寄ってみると寝息が。


そう鉛筆を持ったまま寝ていました。


教官も、下を向いて鉛筆を握っているのでまさか眠っているとは思わなかったのでしょう。特段注意もせずに過ぎていきます。


気の毒だったのは、白根でした。うとうとだけなら良いのに、そのまま机と合体してしまったものだから教官に見つかって。


「白根」、「白根」


 「ふぁーい、まもなく1番線を列車が通過します・・・。」


「白根、何を寝ぼけてるんだ。起きろ。」


その声で目覚めた白根は、一瞬何かわかりませんでしたが、次の瞬間。学園で話を聞いていたことを思い出して恥ずかしいやら、情けないやら。


同期のみんなもいっせいに笑っています。


「白根、公安官制度の歴史を語ってみろ。」


とっさに言われても言える訳もありません。


  「公安官制度は・・・・公安官制度は・・・明治の鉄道ができた当時から存在し・・・・」などと頓珍漢な発言をしてしまいました。


よく復習しておくように。


そういわれて、教官は、公安官の業務について話を続けるのでした。


まず、公安官の任務としては、駅構内及び車両内の治安維持、現行犯犯人の逮捕【これは一般人でも可能】や、被疑者の逮捕、また、これに関連する犯罪捜査もできることとされていました。鉄道公安官などのテレビで出てくるような捜査までしていたかどうかは判りませんが、捜査令状をとって、独自の追跡捜査もできたようですね。


例えば、置石による列車脱線事件などの場合に、証拠品の押収や独自の追跡調査による被疑者の特定、及び令状請求を経ての逮捕など。


ただし、逮捕後は直ちに警察に身柄を引き渡すこととされており、警察のように検察官送致までの作業はできなかったそうです。


その点は、あくまでも公共の輸送機関という意味合いもあったのかもしれません。


今度は、白根は寝ないように意識しながら聞いていましたが、中々頭に入っていきません。


しかし、公安官は、鉄道構内だけでなく、場合によっては鉄道構内以外にも捜査を広げることができます。これが、先ほど話をした、脱線事件の場合などの被疑者の特定や、共犯者がいた場合などは警察なり検察庁に出向き取調べを行って取調べを行うことができることなどです。


だから、皆さんもこの仕事は国鉄職員として、さらには鉄道の治安を維持することで多数の公衆旅客の安全を守ることを念頭に仕事をしてもらいたいのです。


教官は特にこの点を熱く語るのでした。

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