novel-railwayのブログ

以前投稿した小説記事をこちらでアップしていきます。

鉄道公安官物語

フォークソンググループとして、60歳以上の方には懐かしい、「南こうせつとかぐや姫」をご存じの方も多いかと思いますが、その頃の時代背景としたお話です。


かぐや姫は昭和45年に一度結成、その後メンバーを入れ替え再出発したのが昭和46年9月だそうですので、昭和46年とはどんな年だったのか少し振り返ってみたいと思います。


昭和46年という時代を紐解いて見ますと、昭和19年に金と並ぶ国際基軸通貨としてドルを国際通貨とする制度が作られました。当時は、唯一金との交換を認 められていた通貨がドルだったのです。しかし、ベトナム戦争の長期化などにより疲弊したアメリカドルを嫌って金に換える動きが加速してきました。


金の流出が始まったのです。それに耐え切れなくなったアメリカは、昭和46年当時の大統領ニクソンが「ドルと金の交換停止」を発表しました。


 これが、いわゆるニクソンショックです。


ここに、固定相場制は終焉を迎えるのですが、その後も通貨制度の維持を目的に検討が進められ、昭和46年12月にはスミソニアン博物館で先進10ヶ 国の蔵相による会議が行われ、ドルの切り上げ等が行われ、日本では今まで、1$=360円だった固定相場が、308円に変更されました。


しかし、この新しい固定相場制も維持することはできず、翌1972年6月にはイギリスが固定相場制を放棄、変動相場制に移行したことから、日本を含む各国も翌年3月までに変動相場制に移行したのです。


しかし、昨今の円相場から考えると、物価のさも考慮しないといけないとしてもいかに円が安かったか、逆の言い方をすれば輸入品がいかに高かったかを実感できます。


さて、国鉄にあっては国労のネガティブキャンペーンともいうべきマル生糾弾活動が実を結び?磯崎総裁が陳謝するといったことがあったのもこの時期でした。


明るいニュースとしては、青函トンネルの工事が始まったのも昭和46年だそうです。


さて、そんな万博が終わって少し不況の風がこの頃から物語を始めたいと思います。




時は、昭和46(1971)年、真新しい制服に身を包んだ白根小次郎は緊張していた。


彼は、この夏の異動で憧れの鉄道公安職員に任用されたのだ。


みなさんは、鉄道公安官という名称を聞いたことがありますか、一般には公安さんとか、鉄道公安官と一般にいわれる場合が多いのですが正式には。「鉄道公安職員」国鉄職員の中から選抜されるのです。


白根は、国鉄採用以来ずっと、鉄道公安官に憧れを抱いており、このたびの異動で晴れて鉄道学園への入校を認められたのでした。
学園に設けられた公安課における3ヶ月の教育訓練は、鉄道に関する法規というよりも司法警察職員としての訓練が課せられたのです。


また、公安職員は拳銃の使用が認められており、拳銃の訓練は近隣の警察学校で訓練が行われることとされていたが、使う機会も殆ど無いため年2回から3回程度の訓練があったようです。


先輩に聞いても拳銃なんて殆ど持たないからといわれたものでした。


さて、今までの制服と比べると威圧感のある制服は淡いねずみ色で、胸には階級を示す標章が取り付けられており、警察官と同じ帯革を巻いてやると馬子にも衣装とでも言うべきかそれなりの公安官に見えてくるから不思議なものです。


白根自身、こみ上げてくる笑みを抑えることができず、洗面所で、学園内の姿見で己の姿を映しては一人ほくそえむのでした。


さて、そんな白根の学園でのお話は明日以降にしようと思います。


学校での話は、私自身が経験した警察学校のお話を交えてお話するので実際に公安官の訓練とは異なると思いますがご了承ください。

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